この仕事では、子供のけがにもよく遭遇する。
肘内障は子供を痛がらせているうちはヘタなのだと仕込まれた。
我が家の長女はよく肘内障を起こす。
私は骨折の整復は放射線科と協力して透視下でもやって経験を積ませていただいたので得意というか苦手意識はなかったが、肘内障は子供が泣くせいか遠慮してしまい上手く整復できないことがあり苦手意識があった。
しかし、子供は親を成長させるというが長女のおかげで今や肘内障はおそらくかなり上手に整復できるようになったと自負している。
何回かよそのご家庭の子供さんで整復する機会があったが一度も泣かれなかった。
感動的であったのが、痛みのせいで泣いてきた子が整復すると痛みがなくなるのだろう、泣きやむことがあったことである。
こんな話ばかりだといい格好しいなので、お恥ずかしい話もしておく。
これも長女の話だが、ある日遊んでいるときにこけたらしくやはり肘あたりが痛いと言ってきた。
家内もこけたところを見ておらず、まわりにいたお母さん方が「こけた」と教えて下さったらしい。
肘内障としてふつうに整復すればよかったのだが、私は整形外科に行かせたのである。
負傷原因は「転倒」。しかし、起序がわからない。つまり外顆骨折の可能性を消せなかったのである。
言い訳になるが、肘内障にしてはやや腫れがあり熱感もあったように思う。
結局、整形で肘内障の整復をしてもらい帰ってきたのである。
このドクターも既知の先生で、「お父さんに治してもらったらよかったんちがうんか?」と話されていたらしく、恥ずかしい思いをした。
我々は失敗を繰り返して成長する。それを他人に迷惑をかけず、しかし成長のために失敗を恐れず挑戦することをやめない。
間違っても患者さんを実験台にして整復を試したり、技術をためしたりしてはならない。
なぜなら我々はそれで飯を食べているプロだからである。
今のこの業界で骨接ぎができる柔道整復師はどれくらいいるのだろうか?
この事実があすのこの業界をダメにする一つの要因であることは間違いない。
徳見
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